トレタ開発者ブログ

飲食店向け予約/顧客台帳サービス「トレタ」、モバイルオーダー「トレタO/X」などを運営するトレタの開発メンバーによるブログです。

フルリモートの開発組織に出社は必要か?

こんにちは、トレタ VPoEの北川です。

トレタはコロナ以降、全社員フルリモートでの働き方をしていましたが、最近は出社回帰の揺り戻しがトレタにも起きてきました。 このブログでは、開発組織としてリモートワークと出社を今後はどう向き合っていくかの方針、について紹介しようと思います。

リモートの流れ

歴史を遡るとトレタの開発部はコロナが起きる前の早い段階からリモートワークに取り組んでいました。 その当時は毎週水曜日を「リモートワーク推奨日」として、開発部のメンバーは水曜日はなるべくリモートワークを行いそれ以外の曜日は出社、という働き方にしていました。

目的としては、プログラミングなどの開発業務を行う環境としては没頭できるリモートワークの方が捗るだろうという点と、その当時はまだリモートワークが定着していなかったため働く場所を柔軟に変えられるように自宅でも働ける環境を作っておく、という狙いもありました。

その後コロナ禍になり全社員がフルリモートになりましたが、以前からリモートワークを部分的に行っていたため切り替えは比較的にスムーズでした。 普段のコミュニケーションは基本的にSlackでのチャットで行っていたり、ドキュメントをesa(最近ではNotion)に残す文化もあったので、大きな障壁はありませんでした。

コロナ禍が終わった後もフルリモートでの働き方に支障が特にないため、そのままフルリモートが継続され現在に至ります。 その間にはオフィスがあった五反田のTOCビル閉館に伴い移転しましたが(移転後にTOCビルの閉館は延期になった)、移転先はフルリモート前提以前よりでオフィスのサイズは小さくなっています。 社員の中には福岡や沖縄など地方に移住する方もいれば新入社員も地方の方を採用したりと、ますます働く場所の制約は無くなりました。

リモートワークの弊害

そうした状況でフルリモートが4年くらい続きましたが、やはりリモートワークの弊害を感じることはあります。 開発部のメンバーから意見も集めましたが、大体挙げられるのやはりコミュニケーションの点です。

  • チャットだと言葉のニュアンスがうまく伝わらない
  • ミーティングを開く程ではない気軽な相談がしづらい
  • 雑談する機会がなくなった

など、他社でも同じような悩みがあると思います。

これらのデメリットを解消すべく、雑談するための時間を設けてみたり、ランチ中にMeetを繋いでみたりと、コミュニケーションを活発化させる取り組みも以前は行われましたがあまり定着はしませんでした。トップダウン的に施策を行っても定着は難しく、それぞれが意識的に改善しようという気持ちがないとなかなか成功しないと感じられます。

そしてそのまま4年もリモートワークが続くと悪い意味で常態化してしまいます。 直接話した方が早いのにチャットで長々と会話し続けたり、ミーティング中は常にカメラオフにしていたり、それが「普通」になってしまっています。 リモートワークでのコミュニケーションは信用貯金を切り崩しているという表現を見ますが、4年も経てばもはや貯金は尽きています。さらに問題なのは、貯金が尽きていることに気づいてない、または問題視されなくなっていることです。

出社して働くメリット

リモートワークのメリットは通勤電車に乗らなくて良い、通勤時間がなくなる、などわかりやすくあります。 では出社して働くメリットはどこにあるのでしょうか。リモートワークの弊害を挙げましたが、出社したところで変わらないかもしれません。

自分も長くフルリモートの生活が長く続き出社時の感覚が失われてたので、実際に出社回数を増やして気づいたことが一つあります。 セールスやCSの部署は週一で出社日を設けており、全体会議などはオフィスで行われるようになったのでそこに参加しましたが、以前のリモート時で行われていた時と比べてオフィスで行われる会議は密度が濃くなっていると感じました。 質疑などはリモート時と比べると確実に手が上がる回数が増えています。

要因としては、参加者全員が会議に集中しているというのが考えられます。具体的にいうと各自が手持ちのPCを閉じ、Slack通知など遮るものが全くない状態が作られているという点です。 リモート時の自分の部屋もそうですが、ディスプレイが複数枚あり片方にミーティングを映すような形になっているので、なるべく会議に集中しようとしてもSlackのメンションが入るとやはり気が一瞬外れてしまいますし、重要度の高いメンション内容であればミーティングを横目に返信したりしてしまいます。

「世界一流エンジニアの思考法」*1という本にも似たような事例として、ミーティング中は通知を全て切りミーティング中はそれ以外のことを一切行わない、という一流エンジニアの例がありました。人は並列作業をすると集中力や効率が格段に落ちるそうです。 オフィスの会議で感じたのはそれで、オフィス内では内職をしづらい環境が作られ集まっている全員が会議に集中することで、質疑応答が活発になり会議の密度が上がるのだと思います。

週1のミーティングDay

リモートワークと出社のメリット・デメリットを見比べた上で、開発部としてどうするうか。 セールス部署などとは業務内容や普段の働き方が異なるので、同様に出社日を設けるのも違うように感じます。 重要なのはコーディングなどの作業を行う時間と会議などの議論する時間のメリハリをつける、という結論になりました。

開発部内でヒアリングをしたところ、会議などオフィスに集まる意義のある目的が存在する場合には出社するのは構わない、という声が多数でした。(地方のメンバーはその場合に出社は難しいですが) また、気軽に他の人に相談できる環境が欲しいので出来れば普段も定期的に出社する機会が欲しい、という声もありました。

そこで開発部の方針としては毎週木曜日を「ミーティングDay」として設けました。 発想としてはリモートワークを始めた初期にあった「リモートワーク推奨日」が逆になったような状況です。

ミーティングDayは出社を必須にはしていません。 週内の定例など週一で行っている会議は極力木曜日に集中して行い、それ以外の日は今まで通りリモートワークでコーディングなどのもくもく行う作業を効率よくやりましょう、というものです。 ミーティングDayで出社した方が効率のよい会議や議論があれば、必要に応じて出社するかは各自で決めます。曜日がすでに定まっているので各自のスケジュールの調整はしやすい状態にはなっています。

さいごに

まだこの方針・やり方がベストかはわかりませんが、まずはフルリモートという状況から「出社」という選択肢が足されればいいと思っています。 あくまでも強制はせず、各自がその時にリモートか出社のどちらが最適化を判断し、それぞれの良いところをバランスよく取り入れて仕事ができるようになるといいと考えています。

© Toreta, Inc.

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