トレタ開発者ブログ

飲食店向け予約/顧客台帳サービス「トレタ」、モバイルオーダー「トレタO/X」などを運営するトレタの開発メンバーによるブログです。

トレタのテックトーク -プロジェクト管理における開発速度を考える回-

こんにちは。トレタ VPoEの北川です。

今回はトレタで長年行われているテックトークという開発メンバーによるフリートークの場について紹介します。

テックトークとは

隔週に一回開催し、当番の発表者が最近の気になる技術情報であったり、業務する中での技術的な学びを社内に発信する場です。 全体30分の前半はLT(ライトニングトーク)、後半はその内容について参加者内で議論、という形式で行なっています。

今週のテックトーク

今週の発表者はO/XグループPjM(プロジェクトマネージャー)の藤田さんです。

今回の発表内容は、他社のプロジェクトマネジメント事例としてリクルート社のAirワーク リニューアルプロジェクトに関する記事の紹介でした。

hatenanews.com

紹介いただいた記事の内容は、

  • 190画面もあるプロダクトのリニューアルを1年近くかかるところを6ヶ月まで短縮し、結果的に4ヶ月でやりきった
  • 4ヶ月+1ヶ月+1ヶ月という変形スプリントによるウォーターフォールとアジャイルの合わせ技
  • 50組の開発チームを並行に動けるようにする
  • コミュニケーションパスを断ち切る
    • 仕様・設計は最初に固める
    • 決めた仕様は変えない
    • 共通化はせず重複コードを許容する
    • 画面毎にAPIを作る

重複コードを許容するなど驚く内容もありますが、共通化か冗長化はどちらが良いかは時と場合によると思います。 冗長に作る方が良い面もあって、たとえば作るものがまだ明確に定まりきっていないような不確定要素が多い場合には適しています。 ベストプラクティスがまだ確立していない場合なども、まずは冗長に作っておく方が無駄に考えすぎてしまう時間を短縮できます。

すぐに自分達に取り入れられそうなものとしては、4ヶ月+1ヶ月+1ヶ月のような変形スプリントでの手法です。 トレタでも先に仕様や設計をしきってからスコープを切りスプリントを回すウォーターフォールとアジャイルを合わせたような開発を行なっていますが、ウォーターフォール+調整スプリントという手法は参考になりそうです。

紹介されていたプロジェクトでは他を犠牲にするほどの「開発速度」を最優先として進めていましたが、「開発速度の追求」という明確な目的が定められているのも特徴に感じます。 トレードオフに加えて「リスク」を取らなければ圧倒的なスピードを得ることはできません。 プロジェクト設計の目標を定めることで、リスクを取ってでも何かを捨てて何かを得る意思決定を行いやすくなる、というのは学ぶべき点です。

さいごに、藤田さんが意識していることとして「ビジネスサイドとエンジニアサイドの防護壁」というのを挙げていました。 記事には「最速で走ろうとしているエンジニアを守る防御壁の役割」という言葉がありましたが、ビジネスサイドとエンジニアサイドの間に立ち、それぞれの課題や仕様を把握するようにしたいとのことでした。

参加者の反応

  • 50組の開発チームというトレタの開発チームと比べると規模感が全く異なるが、変形スプリントなど随所に参考になる点はありそう
  • コミュニケーションコストの問題は今のトレタの開発チームの規模感でも発生しているので、途中の仕様変更を抑えたりする等、取り入れられそうな部分はありそう
  • 50組もの開発チームを束ねるPM内のコミュニケーションコストが気になる

さいごに

実は藤田さんがテックトークの発表に参加するのは今回が初でした。

今までは主にエニジニアの技術的な発表が多かったのですが、発表者の幅を広げるためにライトな内容も歓迎して発表後の質疑応答や議論の時間を多くとるように変えました。

PjMがいつもどういったことを考えているのかを知れる面もあり、エッセンスとして開発に関わる人すべてに共通する内容もあり、普段とは違う側面での学びが多い回でした。

© Toreta, Inc.

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