UX Days Tokyo2017に参加しました

トレタデザイン部の佐野 彩です。

先日行われたUX Days Tokyo2017というイベントに参加しました。 ニュースを流し読みするだけでは得られない、デザイナーの視点からの最新情報にまとめて触れることができる3日間でした。

2016年に起きた数々の事件が影響してか、UXというバズワードのみで捉えずに、心理学やモラルまでも踏まえた深みのあるセッションが多かったのが印象的でした。 それはもはやUXデザインがバズワードではなくなり常識になったことを示すのかもしれません。 とにかく1日でものすごい情報量に触れることができました。

まずは最初にカンファレンスの報告からいきたいと思います。

1. 計測のさらに先を読む(エリカ・ホール)

人間は完璧な存在ではありません。 データドリブンが良しとされがちな開発の現場で、デザイナーは数字に意味を見出す場合に気をつけるべきはどんなことかを問いかける発表でした。

カンボジアの国民病 貧血を改善した事例

データは物語があって初めて意味をなす、という話。

● 貧血を直すのには鉄分を摂取しなくてはいけないが、ただの治療用鉄石を配るだけでは全く状況が改善されなかった。 ● 人々の生活を観察して馴染みのある形に改善。製品の形にストーリーを加えて説明、やっと使ってもらえるものになった。

データは物語があって初めて意味をなす、というサービス開発にも活かせるエピソードですね。

定量と定性の罠

定量だけでは真実が見えない、定性だけでも真実が見えないという話も興味深かったです。

● 人間の合理的な理解能力には限界があり、人間の脳にはまず自分を考えてしまうというトラップがあるので、気分や偏見などのパターンに勝手に当てはめて数字を見てしまうのが定量の限界 ● 定性の限界はインタビュアーや観察者に依存してしまうこと。 また、簡単にできることを正しいと思いこみがち、大抵グラフにして満足して終わりになってしまう、という指摘も。

人間は不完全であり、それを認識するには脳の特性を知り、偏見にとらわれないで良い質問を繰り返し、クリティカルシンキングをすることが大事だということでした。

2. AI時代の倫理(ケニー・ボウルズ)

サービスを成長させるとなると必ず社会的責任がセットになり、企業側の倫理が問題になります。 去年だけでも、AI(人工知能)がいくら便利とはいえ、設計者が倫理についてルールを持たないと直接的なマイナスの影響を社会に及ぼす例がいくつも示されました。

2016年の例

  • マイクロソフトがTwitterアカウントとして運営していた人工知能のTay(差別発言)
  • カメラアプリの皮膚色変更スタンプ(人種差別的)
  • Facebookのお祝い機能(悲しい記憶に結びつくものをお祝いで出してしまう)
  • 配車サービスのUberやLyft(乗車拒否・差別)

技術は中立ではない

現在の日本に暮らしているとあまりデザイナーが倫理規範はどうあるべきかを議論する光景は目にしませんが、 モノにインターネットや人工知能が実装され、デザイナーが体験設計に関係する場面が増え、そこには人命も関わると認識されていくにつれ、日本でも議論が活発化するのではないでしょうか。

3. フリクション(ステファン・アンダーソン)

フリクションとは衝突・摩擦、という意味です。 ユーザービリティが悪いことで生じる摩擦は絶対悪なので無くしましょう、と語られることが多いですが、 プロダクトにおいて摩擦や衝突が起きるシチュエーションについて多様なコンテキストを踏まえて深堀りしましょうというセッションでした。6つのフリクションのうち、興味深いと感じたものを数点挙げてみます。

内省的フリクション

  • 表面化していないフリクション。支払いステップの最中にパスワードが必要になりそこからパスワードのリセットプロセスに入り・・・など。

境界フリクション

  • デバイス間の断絶による摩擦のこと。様々な改善例があるが、テレビの画面をハンドジェスチャーでキャプチャしてSNSにシェアするアイデアが面白かったです。
  • この改善にはExperience mapなどにデバイスのタッチポイントを記入することが助けになります。

学習的フリクション

  • 意図的なフリクション。摩擦があることで理解が向上したり損害の防止になるもの。
  • ゲームアプリなどにおいては学習が楽しい体験ということも言え、課題を乗り越える楽しさをデザインするのがゲームデザインとも言える。
  • どうしても困難な保険商品を選ぶ場合でも、困難だということを学ぶことで最善と思える選択をすることはできる。

4. 正しいMVPと顧客の学習(メリッサ・ペリ)

スピーカーが報告していたように、LeanUXを実践しようとするときに一番難しいのがMVPをどう定義するかということだと思います。 私も同業他社の方と話していて「MVPは無理だ」「とにかく出すことが重要だ」という両極端な考えをよく聞いた覚えがあります。

ここでのMVP定義とは

  • ベンダーとユーザーに最大のリターンがあるものをMVPと呼ぶ

となると、お客さんの本当に必要としていることを学習する必要があるし、本当に乗り超える問題があるのかを学習し、実験してそれを明らかにしなくてはいけないということを様々な例から学ぶことができました。

上手くいった例

  • HiFlyの例。航空会社が路線のニーズがあるか実験するときに使う乗り入れ航空機を出す会社。(事業と実験そのものがMVPになっている)
  • airBnBの例。良い写真がないせいでユーザーから申し込みが来ないとわかっていたので、カメラマンを雇う代わりに自分で良いカメラを買って写真を撮り乗せた。 などなど

必要とされているかをまず実験し、上手くいったらスケールさせる方法だと認識すると、チームの中でも意識が統一できそうだなと思いました!

5. 対話型UIの設計(ジャイルズ・コルボーン)

次世代インターフェイスとしてChatBotや音声入力が話題になりがちですが、本当にどんな場合でも便利なのでしょうか? Amazon echoやAlexaを例に挙げ、ユーザーのコンテキストを理解した提案を対話を踏まえ提供することこそが「人間的」なのではないかということでした。

次世代型インターフェイスの落とし穴

  • 人間の心は複雑なのでトラッキングする必要があり、人間側のコンテキストに対応する必要がある
  • マナーやエチケットを理解したインターフェイスである必要がある
  • 状態を人間に伝えることで安心してコミュニケーションが取れると人間側が間違えを起こしにくい。 などなど。

人間同士での会話のようにデバイスと会話でき、簡単に物事が済むとしたらとても便利ですね。

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会場の様子。休憩時間にAdobe XDのデモが実施されました。

私の感想

ユーザーを理解し、最適解を提供しよう、という意味でのUXの提唱ではなく、現場でUXをデザインする上でさらにより良くするためには心理学、倫理、脳科学など幅広い知識が必要になってきているという意味で、デザイナーが学ぶべきことはまだまだあるのだなと実感しました。深い学識の裏付けを備えたスピーカーばかりで、聞いていて非常に学びが多かったです。 今はサービスやインターネットが当たり前になった上で、インターフェイスが切り替わり、私たちの生活が変わる過渡期ならではの難しさがあるということなのかもしれません。

次回記事ではワークショップの感想をお送りします。

イベントURL : http://2017.uxdaystokyo.com/

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